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マミーさん、困っちゃう。

先日、ボランティア先の小学校で、図書室開放のお手伝いをしてきました。

 

私が所属している図書ボランティアのグループは、読み聞かせをするだけでなく、放課後や休日に図書室を開けて、子どもたちに居場所を提供することも活動のひとつにしています。

 

図書室開放の日は、子どもたちは宿題をしていてもかまわないし、お友だちと遊んでいてもかまいません。度を超えて騒がなければ、私たちも注意したりはしません。

 

なので子どもたちはお友だちと一緒に連れだって、

図書室にほぼ「遊びに」やってきます。

本当に本が好きでやってくる子は、むしろ稀だと言っていいでしょう。

 

でも、小学2年生のAくんは違います。

純粋に、心から、ある一冊の本が大好きで、図書室にやってくるのです。

 

その本がこちら。

 

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「男の子の心とからだ」(見たい聞きたい恥ずかしくない!性の本)

WILLこども知育研究所 (著), 北村 邦夫 (監修) 金の星社

 

そう、彼が大好きなのは「性教育」の本。

図書室に入ってくると、脇目も振らず、一目散にこの本のところに飛んでいきます。

 

中身をチェックしてみると、

まあ、アレです・・・アレだけど、いたって大真面目な内容で、

きちんと読めば、ためになることもあるのでしょうが、

高学年児童が対象のようですから、2年生のAくんには、いささか難しいのではないかと思います。

なので彼はこの本を「読んでいるわけではない」のですね。

ただながめているわけです。

挿絵に描かれている、バストやヒップを強調した女性のイラストなんかを。

 

で、ひとりでその本をながめながら、

「にやにやにまにまにらにらによによ」している分には問題ないのですが、

まだ低学年ですから、お友だちの男子児童を集めて、

 

「ほらほら~!」

 

ってやったりします。

すると、当然のことながら、図書室内は騒然となります。2年生男子の騒ぎですから、ゴジラなみ、災害なみの大騒動です。

もちろんいちいち注意しなくてはなりません。

それでもまだ、そのくらいなら許容範囲。

 

先日は、件の本を持って、別の本を読んでいる同級生の女の子のところに寄って行ったと思ったら、彼女の袖をひきながら、

 

「なあなあ、これ見てぇや。なあ、ちょっとでええから、これ、見てぇや。」

 

ってやりだしました。

 

セリフだけ聞いてたら、どこの露出狂だ、と思わないではありませんが、

そこは小学2年生。持っている本がアレでなければ、そこそこかわいい風景なんです。

でも、「見てぇな」と迫られている彼女は不穏な空気を感じたのでしょう。

すっくと立ちあがって、まっすぐ私のところに走ってきて言いました。

 

 

「マミーさんっ!Aくんが変態ですっ!」

 

 

 

・・・少女よ。

 

 

それを私にどうしろと?

 

 

うーん…。

私もちょっと困ってしまって、

でも内心ちょっとだけ、

ここで明石家さんまさんのマネをして、

 

「へんたーい、とまれ!」 

 

ってやったらウケるんだろうなあと、ちらっと思ったのですが(←根っからの大阪人)、でもそんなことをしたら、ただAくんを無駄に喜ばせてしまうだけです。

 

なので、せいぜい重々しく、

 

「Aくん、お友だちがイヤがることをしたらあかんのんよ。」

 

とだけ言っておきました。(←つまんない。)

 

 

こんなことがあったので、

子どもたちが帰ったあとのボランティアメンバーの話題は 、自然とAくんのことになってしまいます。

 

誰かの、「どうしたもんかなー」の問いに、

 

1.勝手に貸し出し処理をして、お母さんの目に留まるようにAくんのランドセルに入れておく(←鬼。そういえば彼は絶対にこの本を借りて帰りません。やっぱりママに見つかるのはイヤなんでしょうね。)

 

2.背表紙に、「Aくん専用!」ってラベルを貼る(←いぢめ?)

 

3.「この本はひとりで静かに読まないと将来かわいい恋人も結婚もできなくなる」と書いた紙をしおり代わりに挟んでおく(←呪い?)

 

4.女性の裸のイラスト部分を黒く塗りつぶす(←ひどい)

 

など、いろんなアイデアが出ましたが、

学校図書館の本に関していえば、児童はいつだって、自分の好きな本を好きなだけ読んでいい自由があるはずです。

保護者でもない我々が、Aくんの読書の嗜好にまで口をはさんでいいはずがありません。

 

なのでもちろん、上記のアイデアは単なる冗談で、私たちは特段、なんの対策もせずに、ただ興奮したAくんが粗雑に扱うために破れてしまったその本を補修して帰ったのでした。

 

でも。

 

時に「地元」って、残酷な面があると思いませんか?

 

いずれ転勤してしまう先生方とは違って、

図書のボランティアなんて、基本、ご近所のおばさんたちで構成されているのです。(メンバーには男性もいますが。)

 

今から脳裏に浮かびます。

 

将来、Aくんがどんなに大きく立派に成長したとしても、

私たちの間では、

 

「Aくん?ああ、あの変態の。」

 

が定着してしまっているであろうことが。

 

ちなみに私自身、生まれも育ちもずっと同じ街の地元民。

 

この年になってもまだ、

 

「今はマミーちゃんがごはん作ってるの?

まあ、えらいわねえ!」

 

「お掃除もしてるの?毎日?まあ、ほんと!えらい、えらい!」

 

なーんて言われ続けておりますので、

つい未来のAくんの苦労を想像してしまいます。

 

と言いつつ、私も将来、Aくんがかわいい彼女とご近所を歩いてたりしたら、

 

「あら、Aくん、変態は治ったの?」

 

って声をかけてしまうかもしれませんけどね?(←いじわる)

 

 

おまけ。

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上記の性教育の本はシリーズ化されています。

性教育」といえば、女の子だけ別室に集められて生理のしくみと手当の仕方なんてのをちょこっと教えられただけの私たちの子ども時代とは違って、今は「えらいことになってるんだ…」の感慨が得られます。

たいていの小学校にはこの手の本が図書室に置いてあります(たまに保健室の場合もあり)。

興味のある方はぜひ。