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岩崎書店「怪談えほん」、おすすめです。

先日、こんな本を読みました。

 

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「失われた夜の歴史」

ロジャー・イーカーチ (著), 樋口幸子 (翻訳), 片柳佐智子 (翻訳), 三宅真砂子 (翻訳)

私たちが忘れてしまった、夜の魅惑と恐怖を初めて描き尽くした傑作!夜を暗闇が支配していた時代、悪魔などが跋扈する一方で、自由を求める人々は夜に解き放たれた。文学・社会・生活・心理・思想・魔術―「失われた夜」の全貌がよみがえる。数々の賞、年間ベストブックに輝く世界中で絶賛の名著「BOOK」データベースより

 

おもしろかったです。

有史以来、夜とは本来、暗闇が支配するもの。

人類が夜を楽しむことができるようになってから、本当は刹那のようにわずかな時間しか経っていないのですね。

スイッチひとつで昼間のような明るさを手に入れるまで、

人がどれほど暗闇を、夜を怖れたか、

漆黒と暗闇に対してどれほど無力だったか、

そして無知や蒙昧さがどれほど多くの迷信と物語を生んだかを思うと、

現代を生きる私たちが手に入れたものと失ったものについて、つい考え込んでしまいます。

 

「見えないこと」の恐怖。

「見えないけれどもそこに息づいているもの」への畏怖。

 

灯りをけして、少しの時間、私たちが失った感覚について考えたくなる一冊でした。

 

で、この本を読んでいて、思い出した絵本のシリーズがあります。

 

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怪談えほんシリーズ 一期5巻、二期4巻 岩崎書店

 

これね・・・ほんとーーに!おすすめです。

 

子ども向け絵本と侮るなかれ、本気でコワい!

また、作家陣がとてつもなく豪華!

 

第一期

宮部みゆき皆川博子京極夏彦恒川光太郎加門七海

 

第二期

恩田陸岩井志麻子綾辻行人小野不由美

 

今をときめく人気作家が勢揃いの感があります。

絵を担当された画家さんたちも綺羅星のようなラインナップ。

 

どの絵本も力作揃いです。

岩井志麻子氏の「おんなのしろいあし」、どれだけコワいか・・・。

京極夏彦氏の「いるのいないの」なんて、ラストで思わず「ひぃ・・・」って声が出ます。

綾辻行人氏の「くうきにんげん」、加門七海氏の「ちょうつがいきぃきぃ」に至ってはトラウマ級・・・。

皆川博子氏の「マイマイとナイナイ」は、一生忘れられなくなること必至です。

 

なにも絵本でコワい思いなんてしなくていいというご意見もあるとは思うのですが、

でも私は、人間が暗闇や、「何か得体のしれないもの」に対して畏れを抱くことは、とても大切なことであるような気がするのです。

 

はっきりとは見えないもの、原因がわからないもの。

 

そういったものに出会うたび、人は戸惑い、迷い、途方に暮れて、

そしてその時々の感情を昇華させ、自らを納得させるために、物語とそれを生み出す想像力を必要としてきたのでしょう。

 

それはある意味、弱さの発露かもしれませんが、

そんな弱さをまるっきり失ってしまった地平に、人の心の美しさなどあるでしょうか。

 

ということで、私は個人的にこの絵本シリーズを子どもたちにも積極的に勧めたいところなのですが、

 

「怪談?やめてよ、うちの子が怖がって心臓発作で死んじゃったらどうしてくれるのよっ!」

 

って本気で怒る親御さんもいらっしゃるので(驚くなかれ、実在します)、

なかなか実生活では大声で推薦できません・・・。残念。

 

なので、ここで大大的に宣伝しますが(←岩崎書店と私とは縁もゆかりもありません。念のため。)、この絵本シリーズ、ほんとにほんとにオススメです。

 

どの絵本もオススメですが、できましたら九冊全部をお読みになってみてください。

作家さんたちの熱の入れようというか、力の入れ具合が本気です。

 

作家さんたちだって人間ですから、こうして一組のシリーズの中に組み込まれたら、

 

「あ、あいつ、こんなコワいお話書いてる・・・負けてられるかっ!」

 

って気分にもなると思うのです。

張り合った結果、どんどん怖くなっていく・・・まるで子ども相手の肝だめしで、「脅し役」の幽霊をやっていたら、悪のりをして、つい本気を出してしまった大人のようです。

 

人気作家の大人げなさが垣間見られます!

 

本を読むのが嫌いなお子さんも大喜びで読んでいますので(こっそり勧めています)、お子さまをお持ちの方には強くオススメします。

買ってまでは・・・という方も、立ち読みでもいいので!騙されたと思ってぜひ!

 

 

第三期、出ないかなあ・・・。