十三と書いて

先日のこと、「はてな」で知って、気になっていた映画を見に行って参りました。

 


「さとにきたらええねん」釜ヶ崎 こどもの里

 

映画の内容については、どうぞ上記セネシオさまの記事をご覧ください。

 

私から、なにかをつけたしたり、引いたりすることは一切ありません。

深い洞察に裏打ちされた感動的なレビューです。

 

いささか生活に問題を抱えたたくさんの親子。

特に子どもたち。

そのはじける笑顔とたくさんの涙。

飛び交う生の大阪弁

関西地方以外に生活の基盤があるみなさまには、ちょっぴり乱暴に聞こえるであろう言葉の数々、

 

「あかんやろ」

「やめとけや」

「もうええねん」

「あほちゃうか」

 

でもそんな、いささかお行儀の悪い言葉の裏に、どれほどの痛みが、どれほどの寂しさが折り重ねられているのだろうと思うと、映画館の椅子に座って彼らの人生を垣間見ることに、いたたまれないような、申し訳ないような気がしました。

 

で、映画を見てからこっち、

 

「どよーん」と、

 

「どよよよーん」としております。

 

ドキュメンタリー映画ですから、登場人物は映画の中の世界を実体験として生きているのでしょう。

見ていて「こんなひどい親が」と感じるのは、とても自然な感想だと思うのですが、私にはどうしても、この映画に登場する人々を、心から非難する気持ちにはなれませんでした。

 

私自身、自分がいい親であるなんて小指の先ほども思えませんし、

なにより、この映画の中に出てくる問題を抱えた親たちも、

「わざわざ出かけて行って」

「知らない人にまで」

「故意に」

害をなすような人たちには見えませんでした。

 

なので、どうしても思ってしまうのです。

「万一彼らが、子どもを持たない人生を歩んでいたとしたら、誰かにこんなにも非難がましい目で見られることがあっただろうか」と。

 

一方で、きっといい親になるに違いないと思われるのに、なかなか子宝に恵まれない人もいます。

 

もしも、数多いる神さまの中に、誰にどの子どもを授けるかを決めている神さまがいらっしゃるのなら、

 

 

「下手くそ!」

 

 

と叫びたい気持ちをぐっとこらえてその足下にひざまずき、

 

たとえ、神さまの目には虫けらのように小さい存在にうつったとしても、

子どもに関する事柄については、人の痛みや苦しみは言葉に尽くせないほど大きいのです、どうかもう少し、丁寧で思いやりのあるお仕事ぶりを。

 

と願わずにはいられない気持ちになりました。

 

で、どよーんの気持ちから浮上できないままでは暗すぎるので、今日はこの映画を上映していた街をご紹介。

 

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阪急「十三」駅。

漢数字で「十三」と書いて「じゅうそう」と読みます。

 

松田優作のハリウッド出演作「ブラック・レイン」のロケ地として、一時ちょっぴり話題になりました。ずいぶん昔の話しになります。

今は「松田優作」を知ってる人なんていないのかも…。

 

2014年には十三駅西口すぐ、通称「しょんべん横丁」で出火、大騒ぎになりました。

 

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長い間、焼け跡にはフェンスが建てられているだけで駅が丸見えになっていましたが、最近ではまた小さい店舗がびっしりと立ち並んできています。

「昭和」へのノスタルジーと見るか、ただの汚らしい飲み屋街と見るか、それは評価のわかれるところ。

 

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 こちら、当該映画がかかっていた「第七藝術劇場」。

 

とても小さいミニシアターですが、収益にのらないような映画でも果敢に上映している映画館です。

 

実はこの「十三」という街、私が通っていた高校のご近所で、つまり私の高校時代の思い出が詰まった場所でもあります。

 

店舗の入れ替わりが激しい商店街や、飲み屋さんがひしめき合う細い通り、それから巨大なラブホテル街。

無秩序と混沌が同居した街ですが、ほんの少し北側には淀川の堤防も。

 

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高校時代、同級生とこの堤防の上を駅まで歩いたものでした。

ここから見える淀川の風景は、当時とあまり変わりません。

 

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でも十三大橋の向こうにそびえたつグランフロント大阪は最近の光景。

 

 

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そして阪急電車

沿線には高校や大学が乱立しているので、この電車のカラーは多くの関西出身者に学生時代の思い出を彷彿とさせます。

 

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日暮れの迫る淀川通り。

 

高校時代、この道を何度往復したことでしょう。

同じ道に立っていながら、ずいぶん遠くまで来た気がします。

 

映画に出てくる子どもたちは、傍から見れば過酷な運命にあるようで、

でもたくましく、人を思いやる心をちゃんと持っていました。

そんな彼らを全力で助ける人がいることも知りました。

 

多くの言葉でなにかを語るよりも、

この道の先に、それほど「悪くない」未来が続くことを、ただ祈りたくなる一日の終わりです。