「みをつくし料理帖」舞台・浪華三大橋を歩く
みなさま、こんばんは。
今日は前回に続き、大阪・天満橋界隈をみなさまと一緒にお散歩したいと思います。
いつもの通り、グダグダな記事になりそうですが、どうぞおつきあいくださいませ。
さてさて、大阪の現在の中心地は、なんといってもキタやミナミの街なわけですが、昔は天満のあたりが中心だったのではないかと思います。
だってほら、見て。
天満橋の駅を降りてすぐの交差点からは、こんなものが見えるのです。
相変わらず、写真が下手。
でも通りの向こうに大阪城が見えているのをわかっていただけるでしょうか。
写真だとかなり遠くに見えますが、実際にこの地に立って見ると、ほんとに近くに感じられます。
横チンさんやmarcoさんのような健脚の持ち主ならあっという間にたどり着けることでしょう。
・・・は?
私ですか?
歩きませんよ。
この日の目的地は大阪城じゃないし。
そもそも今の大阪城は太閤秀吉の時代のものじゃなくて、徳川幕府時代のものですからね。ぺっぺっ。
それに大阪城に行くなら地下鉄「谷町四丁目駅」か、環状線の「大阪城公園駅」の方が便利です。
で、ちらっと見えている大阪城はスルーして、今日の目的地は「天満橋(”てんまばし”)」。
marcoさんも私も大好きな「みをつくし料理帖」。
高田郁さんの時代小説。
全10巻で300万部超の大人気シリーズで、去年、NHKでドラマになりましたから、ご存知の方も多いと思います。
その主人公「澪」が大阪で料理の修行を重ねたお店の名前が「天満一兆庵」といいますから、きっとこの界隈が小説の舞台のひとつなのでしょう。
天満橋。
裏側はというと・・・
天神さまのシンボル・梅の意匠があしらわれています。
天満橋から上流を望んだところ。
大阪は「八百八橋の水の都」と言われますが、天下の台所であった江戸時代においても、幕府が架けた橋というのはそう多くはありません。
大阪に数多く架けられた橋の多くは、商人や町民が自腹を切って架けたものが多く、幕府からの援助はほとんどありませんでした。(なので通行人からお金をとることが多かったんだとか。)
今でも大阪では、「お上」というものに対する考え方が他の地方とは少し違っている感じがします。
「お上」=信用できない、頼りにならない、あてにならない、という見方がうっすらと残っているような、「お上」のすることには興味を持つことすらできないような。
「みをつくし料理帖」の中でも、江戸の人々が「公方様」に対して持っている根源的な畏敬・遠慮の気持ちを、大坂出身の主人公がいまひとつ理解できずにポカンとする場面が出てきますが、そんなシーンに出くわすたびに、
「めーっちゃわかるわ~。」
とひとり頷いたものでした。
ところで現代の天満橋は「かさね橋」といって、二階建て構造になっています。
橋の建立記念に銅像を作ったんでしょうけれど、かさね橋の下の方に銅像を建てたのはあんまり納得できない・・・日当りが悪そうで、ちょっとかわいそう。
相変わらず意味不明なほど下手な写真ですが、向こうに見えているのが天神橋です。
せっかくですから、行ってみましょう。
天満橋を渡ってから、川沿いの道に出てみました。
川面に差す陽の光がまぶしいほどで、気持ちのいい散策ができそう・・・と言いたいところですが、この日はすんごく寒くて、お散歩日和とは言えない感じ。
だーれもいないの・・・。
普段なら、歩いてる人が結構いるんだけどな・・・
なんかこんな石碑を見つけて・・・
説明もついてたけど、寒くて立ち止まれない・・・
興味のある人は自分で調べてね!(←不親切)
大川沿い遊歩道。
大阪市民憩いの場所・・・だけど誰もいない。
寒いんだもんね。
こんな寒い日にこんなところを歩く人の気がしれません。
公共交通機関がうじゃうじゃ張り巡らされた市内のこんなど真ん中を、わざわざ歩く必要はないんだもんね、普通なら・・・ただ、桜の季節はここも超満員になるのです(ほんと)。
人混みが嫌いな方はぜひこの時期にご来阪ください。寒いけど。
で、「天神橋」。
「みをつくし料理帖」のラストシーン。
主人公の澪は幼馴染の野江ちゃんとふたり、この天神橋を渡ります。
水害のどさくさの中で人買いにかどわかされ、江戸の遊郭・吉原に売られてしまった幼馴染を、女の身で身請けしようとする主人公。
これでもか、と次々降り注ぐ艱難辛苦を耐えに耐え、主人公がようやく幼馴染を落籍かせることができそうになったとき、でも私はふと心配になりました。
女の身で遊女を身請けするなんて、それはやはりすごい噂になってしまうにちがいない。
身請けされた方の「野江ちゃん」は人々の好奇の目にさられて、その後の人生、肩身が狭くならないかしら。って。
なので、彼女たちが「大坂に帰る」ことを選択したときには、つと胸をつかれて思いました。
「そうやん!帰ってきたらいいんやん!
帰っとぉいで。帰っとぉいで。
大坂に帰っといで。」
ラストの数ページは、私の方がまるで「帰心矢の如し」、でも感動のあまり涙で字が読めなくなるほど泣きました。
天神橋から天満橋を望む。
昔の天神橋からは、きっと大阪城もはっきりと見えたことでしょう。
今の天神橋からは往時の趣を知ることはかないませんが、物語の主人公がこの橋の上で見た空の色を、同じ場所で想像した瞬間は、私にとってとても幸せな時間でした。
「みをつくし料理帖」全10巻。
全て文庫本での刊行ですから全冊そろえても大した金額にはなりませんので、未読の方はぜひ。
江戸時代に女の身で一流の料理人を目指す主人公。
荒唐無稽に思えますが、それを感じさせない展開で最後まで感動の連続です。
「なんかおもしろい本ないかなー」
とお考えの方にもぴったり。ぜ~ったい「泣けます」から。
マミーさんの保証付き。
全巻読み終わったら、最終巻の巻末に添えられた「料理番付」もお見逃しなく。
そこも号泣ポイントですからね!
さてさて。
タイトルにある「浪華三大橋」とは、今回たどってきた「天満橋」「天神橋」と「難波橋」の3つの橋を指します。
長くなりましたので(←余計なことしゃべってるから)、最後の「難波橋」のお話はまた次回に。
ますますグダグダのヨレヨレになる予定ですが、次回もどうかお立ち寄りくださいませ。
あ、それと。
「みをつくし料理帖」についてもっと詳しく知りたい方はぜひぜひmarcoさんのブログへGO!なんと作中のお料理の再現まで見られます。
ほんとにおいしそうなので空腹時に見るのはちょっと危険・・・。
よだれを拭うハンカチ必須です!
東京がもうちょっと近かったらな・・・
見るだけで食べられないなんて、ほんっとに残酷!
あーあ。(←自分で作れよ、って?・・・とほほー。)