「男がアホな犬」なら出産直後の女性は何にたとえられるのか、夫に聞いてみた。
みなさま、こんばんは。
先日のエントリーで、ID:pucayuさまからこんなブックマークコメントをいただきました。(pucayuさま、ありがとうございました。いつもコメントくださるみなさまも、ありがとうございます。)
pucayu 出産後のおかしなテンションの当時を冷静にふりかえる今のマミーさんがかわいいです。
えへ。
かわいいって♪(←お世辞を真に受けて失敗するタイプ)
ええっと。
今日お話ししたいのは、ほんとの私はかわいくないのに、どれだけ猫をかぶってるか、ということではなくってですね、
「出産直後の女性がどれだけおかしなテンションになるか」
について、もうちょっと詳しく。
出産前後の女性の精神状況の変化について、山のように情報が出回っている今と違って、私が出産した当時はまだそれほど世間で認知されていたわけではなく(←私が知らなかっただけかもしれないけど)、私も「新生児を育てる際の注意点」ばかりが気になって、自分の身にどんな変化が起きるのか、考えてみることもありませんでした。
で、てんやわんやの子育てがスタートしてみたら。
やっぱりおかしいんですよね、私が。あきらかに。
なんといっても、気分の浮き沈みがいつもよりも激しくなりました。
ひたすらヒステリックになるというよりは、喜怒哀楽の感情がいつでも最大級の大きさで襲ってくる感じで、ほんのちょっとした幸運にも舞い上がるほどうれしくなったり、かと思うとつまらない失敗で、この世の終わりのようにふさぎ込んでしまったり。娘に授乳しながら読んだ本に感動してわんわん泣いてたり、ね。
でも、いくつかの精神的な疾患の症例患者が「自分はおかしくない!」と主張するのとは違って、自分でも「なんか変だな」という自覚がはっきりとあるのです。
逆に言うと、それがしみじみとつらい。
だって、なまじ「おかしい」という自覚症状があるために、ジェットコースター並みに激しく上下運動を繰り返す自分の「心」を抑えこむため、一日中、悪戦苦闘する羽目になるのですから。
「こんなことでどうしてこんなに浮かれているんだろう、冷静にならねば。」
とか、
「こんなことくらいでいつまで落ち込んでいるんだろう、早くきりかえなくては。」
とか、
「なんでこんなに泣くんだろう、この本の結末、ちょっとご都合主義じゃない?いつもの私だったら、絶対泣かないよね?」
とかね。
出産直後、なにがしんどいって、この、「ロデオのように浮き沈みする感情を抑え込もうとする作業」ほど「しんどい」ことはありませんでした。
中でも、すごく鮮明に覚えているのは、ある朝のこと。
娘が初めて、私の顔をはっきりと視認して、「にこー」って笑ったのです。
瞬間。
直径30センチの槍が飛んできて、私の心臓の真ん中に突き刺さったのかと思いました。
胸があまりにも痛くて、息もできなくなり、私は娘のそばにすとんと座り込んでしまいました。
スタジアムの照明を直視したみたいに、目の前は真っ白になるし、ありとあらゆる音が遠ざかって、心臓の鼓動だけが頭のすぐ横で鐘のように鳴り響き、私はもう、酸欠の金魚みたいに苦しく身を震わせながら、
「ああ、笑ったん?今、笑ったんやねえ。」
と出ない声で繰り返しながら娘を抱き上げて頬ずりしました。
どうやっても止まらない涙で娘の髪や頬をぬらしながら、私は「今のは一体なんだったんだろう」としみじみ考えました。
もしも、この感情が、今、胸にこみあげている、この痛みと苦しみとしか言いようのない強い感情が、本当の、本物の「愛」なのだとしたら、今まで私が考えていた「愛」とは一体なんだったのだろうと思いました。
そして、私は、私が「なにもわかっていなかったこと」に気づいたのです。
これが、これこそが正しく「愛」と呼ぶべきもので、今までの私は、真の「愛」とはなんなのか、なんにもわかっていなかったのだと。
私は今すぐ頭の中の辞書の「愛」というページを書きかえなければならないのだと。
で、それでね、私、
窓ガラスを「ばーん」と開けて、
「今までうっかり「愛してる」なんて言っちゃった人、ごめーん!あれ、勘違いでしたー!結果としてウソついたことになっちゃったけど、ほんとごめんねー!」
って叫ぼうかと思いました。
ぎりぎり踏みとどまったけど。(←マジでよかった、踏みとどまれて。)
ね?
変でしょう?
変なんですよ。
ただでさえ出産時のダメージのあらゆる痛みからまだ回復していない状態なのに、極度の睡眠不足、おまけに精神だけはジェットコースタームービーの主人公のような毎日。
まさに「疲労困憊」、なのに「興奮状態」としか言いようのない状態でした。
そんな時、私の救いになったのが、知人からの出産祝いについていた「カード」。
そこにはこんなことが書かれていました。
「出産直後はホルモンのバランスが崩れて精神状態が不安定になります。
だんなさまに甘えて、ゆっくり休んでね。」
この言葉を読んで、私は自分の身に起っている諸々の変化が、
「私だけじゃなかった!誰にでも起こる自然現象で、いつかはきっと治まるんだ!」
と知って、心の底から安心したのでした。
以来、少しは気持ちが楽になり、たとえ気分の浮き沈みがあったとしても、落ち着いていられるようになりました。
また、夫には甘えていいのだとお墨付きを得たような気がして、「寝られなかった」とか「しんどい」とか、堂々と言えるようになりました。
夫も、感情の起伏の激しくなった私をよく支えてくれたと思います。
夫は常々、「男は頭の悪い犬!」と主張してやみませんが、
娘がある程度大きくなってから、あれほど「おかしくなっていた」私は一体、彼の目にどんな風に見えていたのだろうと、ふと疑問に思って聞いてみました。
「男の人が犬なんだったら、じゃあ、子育て中の女の人は何?」
そうしたら、
夫「子育て中のメスライオンやな。逆らったら、命にかかわるで。」
とのことで。
む。むむむっ。
・・・ライオンはカッコいいから、別にいいけど。
でもでも、じゃあ、「普段」はどうなのかしら。
なんの動物にたとえられるのかなあ?
「じゃあ、子育て中じゃない女の人は?」
夫「・・・子育て中じゃないメスライオンやな。」
「命にかかわる」という点では、変わりはないんじゃないかという気がするのですが、ま、それだけ妻がコワいってことですよね。
ほほほ。