赤ちゃん連れの通院は無理ゲーでした。(子育ての思い出・3)
みなさま、こんばんは。
子どもが小さいうちって、いろんな苦労や制約があるものですけれど、
その中でも「大変だったなー」ってしみじみ思うことってなんでしょう。
私の場合、「通院」でした。
もちろん、子どもの具合が悪い時には、どんな状況であっても大急ぎで病院へ駆けつけるわけですけれど、問題は「母親である私自身が不調の時」。
子どもを出産するまでは、かかりつけのお医者さまや病院に対し、不満を感じることなんてなかったのに、「身ひとつ」であった時と、出産後とでは、事情がまったく違ってしまう、という単純なことを、私は自分が身をもって体験するまで、気づきもしませんでした。
あらかじめ予約を入れて病院に行く場合などには預け先を確保したり、実家の母に来てもらったり、打てる手はあるのです。
でも、「体調」というのは、いつなんどき悪くなるかわからないもので、必ず先手を打てるとは限りません。
今日は、今でも覚えている「ママの通院で困った状態ベスト3」を振り返ってみたいと思います。
1.熱中症治療。
夕方、コップを洗っているわずかの間に、一気に40度の発熱、割れるような頭痛に「いくらなんでもこれはおかしい」と思い、当時2歳の娘を抱っこしてタクシーで病院に向かいました。
で、まあ熱中症だということで、点滴を受けたんですが、それが3時間くらいかかりました。
病院のベッドに横になった状態で3時間、2歳児の相手をするのって結構キツイです。
2.術前検査。
まさか手術になるとは思っていなかったのに、「手術するから、術前検査を受けて帰ってね」と言われて、病院内の検査室を5か所回るように指示されたことがあります。
で、娘をバギーに乗せて、病院の中をあっち行ったりこっち行ったり。
おまけにありとあらゆる検査場所が、当たり前ですが「おひとりさま限定仕様」。
検尿をするためのトイレには赤ちゃん用のスペースがなく、心電図を撮るためのベッドは狭くて娘はバギーに乗せたまま待機、レントゲンやCTの撮影ではそもそも一緒に入室できませんから、
「技師室に置いといてください」と娘をバギーごとお願いしたら、検査技師の若い男性に
「えっ?」
って言われました。
その気持ち、めーっちゃわかるわあ、財布預けられてもちょっと迷惑って思うもんね、だって大事なものだから、万一のことがあったらどうしよう、責任取れないって思っちゃうのも当たり前。そもそも大事さ加減から言えば、財布どころじゃないもん、生きてるもんね、ナマモノだもん。わかる、わかる、その「え?」って気持ち、すんごいわかるよ?でも私も必死やねん、廊下に置いとくわけにいかへんやん?
「大丈夫、泣かないと思うのでっ!(知らんけど)」
と半ば強引に技師室に入れてもらいました。
でもなんだろう・・・すんごいわがままを言ってる気がして、顔から火を噴きそうでした。
3.中耳炎治療。
子どもみたいなんですが、中耳炎によくなります。痛いんですよね、これが。
居ても立っても居られない、まさに七転八倒、あまりの痛さに病院に薬をもらいにいくのですが、診察の後でたいてい耳に薬を入れられます。
横向きに仰臥したまま約20分。動かずにじっとしていてください、と言われるのですが、これが赤ちゃん連れだと難易度が跳ね上がります。だって、耳鼻科診察室のベッドってたいていがこんな感じ。
よくありますよね、こんなベッド。
横たわるのがひとりである場合には十分なベッドなんですよ。
いくら私が太ってるからって、このベッドに乗れません、ってわけではありません。(←ほんとうですってば!)
ただ、赤ちゃんが一緒の人間には、このベッドはあまりにも狭い、狭すぎるのです。
耳鼻科医院の診察室ってバギーも入れられないし、だからずっと抱っこしているわけですが、この診察台の上に横たわったら、抱っこは当然できません。せめて仰向けに寝るのだったら、お腹の上に乗せておけるのですが、残念ながら耳の治療では横向き仰臥。
仕方なく、横向きになっている20分の間、娘を腰の上に乗っけていました。
もうね、落っことさないように必死!
娘がおとなしいタイプだったのでなんとかなりましたが、じっとしていられないタイプの子どもであれば、床の上で好きにさせるしかなかったのかもしれません。それはそれできっとストレスだったろうなあ、と思います。
たとえば産婦人科や小児科では、授乳室や、赤ちゃんをちょっとの間寝かせておけるスペースがありました。
でも、他の診療科ではそういったスペースは皆無で、私は病院に行くたびに、
「ああ、小さい子がいるお母さんは病気なんかしないというのが前提なんだ」
と思いました。
病院だけではありません。
出産後、たびたび不調になる私(←ぎっくり腰もやった!)のために、夫が夕方、
「妻が具合悪いようなのでそろそろ帰ります」
って言ってたらしいのですが。
そうしたら、言われたのですって、上司に。
「身体の弱い嫁さんやなあ。そんな嫁さん、実家に帰してしまえ。」
って。
それを聞いたときの私の気持ちはとてもひとことでは言い表せません。
まず最初に心に浮かんだのは「申し訳ない」という気持ち。
これはかなり強い感情でした。焦燥感にも似たような。
私も企業で働いたことがありますから、「仕事ができない」とか「戦力にならない」とか思われることの惨めさや切なさはよくわかります。
私のせいで夫が、会社でそんな風に扱われていたとしたらどうしたらいいのか・・・たまらなく申し訳なくて、自分が情けなくなりました。
で、次に感じたのが「悲しさ」。
いくら申し訳ないと思ったとしても、突如完璧な健康体になれるわけではありません。
自ら望んで病気になったわけでもないし、痛かったりしんどかったりするのは私で、誰よりもすっきり健康になりたいのも私自身なのです。
おまけに、これは子どもが産まれる前、私ひとりの身であれば起こりもしない問題で(←ひとりで寝てればいいだけの話)、なぜ夫に終業後、早めに帰宅してほしいのかと言えば、娘がいるからなのです。
娘のお世話に手が回らない状態だから、父親である夫になるべく早く帰ってきてほしいというだけのことなのに、
「なんでそんな冷たい、情のないことを言われなくてはならないのか」と思うと、悲しくってたまりませんでした。やはり母親というものは体調を崩すことさえ許されないのだろうかと。
で、ふと思ったのが、「どうして夫はそんなことを私に告げるのだろうか」ってこと。
夫の上司にしても、いくらなんでも私に向かって直接、そんなひどいことを言うとは思えず、それは、
「奥さんの耳に入らない場所での、男同士の軽口」
程度の発言だったのではないだろうかと思うのです。
「まさかそんなこと、実際に奥さんの耳に入れる男がいるとは思わなかった!」
というのが本音なんじゃないかな・・・。
私は夫の上司の発言と、それをそのまま伝えてしまう夫に、
申し訳なく思い→悲しくなり→夫の浅薄さにイライラとし、
あまりにも考えること、感じることが多すぎて、泣くべきなのか怒るべきなのか、どんな顔をしていいのかすらわかりませんでした。
今は怒ってます。夫にね。ほんとにデリカシーないったら、もー。
けれども、私自身、赤ちゃんと一緒に病院に行くことの大変さを、自分で経験するまでは全くわかっていませんでした。
であるとすれば、出産・育児に対し、主体的に関わらずに済んできた男性はもっとわかっていなくて当然なのかもしれません。
自分の身に起こったこと、起こるかもしれないこと。
それ以外の物事に関して想像力が欠如しがちであることは、 私たちの多くが経験していることです。
病院とは、他のどんな場所よりも、弱い立場の人が集まるところですから、できることなら、困っている人、弱っている人の利便性を日々追求してもらいたいと思います。
急に病院に行く必要に迫られた時、もしもそばに乳幼児がいたら。
それはあまりにもハードモードでした。
今では一人ですいすいと病院にも行けてしまうので、若いお母さんたちを見るとついつい心配でちらちらと様子をうかがってしまいます。
もしも、赤ちゃんをつれての検査などが無理ゲーだったら、いつでも見ててあげるよー!という気分で見ているのですが、今のところ、そんなシチュエーションに出会ったことはありません。そもそも親子連れを見ることが少なくなりました。少子化って想像以上に進んでるんですね、きっと。
でも、困っている人はいると思うのです。確実に。
ここをご覧になっているみなさまも、もしもそんな現場に出くわしたら、ぜひ手を貸してあげてくださいね。