つながっていく喜び。

みなさま、こんばんは。

 

先日、我が家の娘がとうとう「読み聞かせ」のボランティアデビューをすることになりました。

万年、読み手不足に悩んでいた私たち・・・

先月、

 

「読み聞かせに行かなきゃ、と思って私がバタバタしてる横で、まる子(←娘のことです。もちろん仮名です。)ときたら、講義が午後の一コマしかないって、朝からゴロゴロしてんのよー。どう思う?」

 

と私が愚痴りましたら、メンバーが一斉に

 

「なんで連れて来ォへんのよ?」

 

と言うので、

そうか、そうか、もう大学生なんだし、絵本くらい読めるよねー?と勝手に翌月の読み聞かせ要員に登録して帰ってきたのです。

 

「マミーさん家のまる子ちゃん、来月、読んでくれるってー。」

 

の一報が巡ると、「じゃあうちの子も。」と他にもふたり、大学生が参加してくれることになりました。みんな娘の元・同級生です。

 

「ああ、まる子ちゃんもSちゃんもMちゃんも、もうみんな大学生なんやねえ・・・。ついこの前までランドセルしょってその辺ウロウロしてたのにねえ・・・。」

 

と古参のメンバーはしみじみ。

最近、メンバーになったばかりの若いママさんたちは、

 

「読み聞かせしてもらってた子が元気に大学生になって、しかも今度は読み聞かせをしてあげる側に!いいなあ、いつかうちの子もそんな風になってくれたら・・・!」

 

と大盛り上がり。

日が経つにつれてうなぎ登りに上昇していく期待値に、最初は軽く考えていた私の方がプレッシャーを感じるようになりました。

 

娘が今回担当するのは3年生。

まずは子どもたちの興味を外さないよう、慎重に絵本を選ばなくては・・・。

娘に頼まれて私が選んだ絵本はこちら。

 

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上の3冊から娘が選んだのは「オオカミがキケンってほんとうですか?」でした。

親子って絵本の好みまで似るんでしょうか・・・?私も大好きな1冊です。

 

mamichansan.hatenablog.com

 

5年生のクラスに入る予定だった私も、読む本を探していたのですが、せっかく娘が初めて読み聞かせに行くのですもの、記念に私もおんなじ本にしようと思いました。

 

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あちこち手を回しておんなじ絵本を手に入れました。

 

で、金曜日。

いつものように読み聞かせをしながらも、どうしても3年生のクラスが気になる私・・・。

読み終わった後、子どもたちと一緒に聞いていた先生との、

 

「すごい本でしたね・・・ちょっとびっくりというか・・・胸にささるというか・・・」

「ね!そうですよね、私も最初に読んだときにはびっくりしましたー。」

 

なんて会話中も、気もそぞろ、子どもたちの「ありがとうございましたー。」の声に送られて、大急ぎで3年生のクラスに走って行きました。(←よい子は廊下を走ってはいけません。)

 

3年生のクラスでは娘がちょうど、最後のページを読み終わるところでした。

子どもたちが娘の手元の絵本に注目しているのが見えます。

「ああ、よかった、みんな集中して静かに聞いてる!」

心からほっとしました。

子どもって残酷なくらい正直で、つまらなかったらざわざわして、ちっとも聞いてくれませんから、読み聞かせがうまくいっているかどうかは、教室の前まで来るとすぐにわかってしまうものなんですよ・・・。

今回はとてもいい首尾だったと、教室内の空気ですぐにわかりました。

 

「おしまい。」

と絵本を閉じると、子どもたちは「はっ!」と今起きたばかりのような目でこちらを見上げてきます。

娘もきっとこの瞬間、とっても緊張したのでしょう、

 

「きょ、今日も一日がんばってね!」

 

という挨拶も、ちょっとたどたどしいというか、初々しいというか・・・

子どもたちの、

「ありがとうございました~。」

という唱和に、真面目くさってお辞儀を返す娘の姿をつい、にまにまと眺めてしまいました。

 

読み聞かせの後、メンバーはみんな図書室に戻ってきます。

そこには娘の同級生、SちゃんやⅯちゃんの姿も。

高校進学時から進路の分かれてしまった娘たち。

「久しぶり~」と声をかけあう3人を囲んで、ボランティアのメンバーはすっかり「親戚のおじさん、おばさん」状態、

 

「まああああ、キレイになって!(←うちの娘はのぞく)」

「大学生になったんやねえ。学校、遠いのん?」

「もうすっかり大人やねえ・・・(←うちの娘はのぞく)」

「子どもたちも喜んだと思うわー。年の近いおねえちゃんが大好きやもんねえ、子どもって。」

と大騒ぎ。

最近入会したメンバーからも注目を浴びて、3人とも恥ずかしそうにしていました。

 

本当に、つい昨日のことのように思えるのです。

彼女たちのために読み聞かせをしていた日々が。

教室に行くと、

「あー、まる子ちゃんのお母さん!」

と言いながら、駆け寄ってきた彼女たちの小さな背丈、まだ甲高い声、汗の光る額に貼りつく、まだ一度も染めていないまっすぐな髪の毛・・・。

 

それが、いつのまにやら私たちと同じ目線になった彼女たち。

すらりと伸びた手足に、きちんとお手入れされた髪の毛、うっすらとメイクした頬のすべすべな肌・・・

それはまるで蕾が花開く瞬間に立ち会っているかのようでした。

とても目が離せなくなってしまうのです。

要するに、若いって素敵・・・。ほほ。

 

小学校には彼女たちが5年生だった時の担任、S先生がまだ在職していらっしゃるので、彼女たちに挨拶に行くように促しました。

きっと先生もものすごく驚かれたことでしょう。

(後で娘に聞いたら、まさに「ぎゃー!」としか言えないような悲鳴をあげられたそうです。そりゃそうですよねえ・・・12歳から18歳と言えば、女の子がもっとも変身する時期ですもの。)

 

娘たちと入れ替わりに、図書室には校長先生が入って来られて、卒業生がこうして子どもたちのために読み聞かせに来てくれたことを、ことのほか喜んでくださいました。

 

「僕も担任をしていたころ、毎年、水泳の授業に力を入れていたんですよ。

そしたら、卒業生の中から水泳部に入るのがたくさん出てきましてね、そういうのが高校生になると夏休みに模範演技をしに来てくれたりしたもんです。

子どもたちも高校生がすごい早さで泳ぐのを見ると、憧れるんでしょうね、ものすごくがんばるようになるんです。

いや、あれはうれしかったな・・・こうして「つながっていく」んだって気がして。」

 

わかる気がします。

私たち親にしても、読み聞かせをしてもらっていた子どもたちが、今度は読み聞かせをする立場になる、ということが、こんなにも幸せな気持ちになるのだと、今知ったばかりですから。

 

落ち着いたところで、「次回の読み聞かせは~」と打ち合わせが始まりました。

娘は「いや、もういいです・・・数に入れないでください・・・」

と言っていましたが、百戦錬磨のご近所のおばさんたちに太刀打ちできるはずもなく、

 

「は?ああ、はいはい、じゃあまる子ちゃん、次は2年生ねっ!」

 

って言われてました。

・・・断るなら、自分で断ってほしい・・・私にも勝てる気がしません。全然しない・・・。

 

ちなみに、ここまでの下書きを読んだ娘が、

 

「いちいち、「娘をのぞく」ってしつこいねん!失礼やわー!」

 

とすっかりお冠なので、一応、

 

私の娘のわりには、それなりにキレイに、そして大人になった。

 

と言っておきます。(そういうことにしておいてくださ~い。)