読めない絵本

 

しつこいようですけれど、

 

小学校で絵本の読み聞かせのボランティアをしております。

 

めんどうだなあ、と思いつつ、

 

一度入ると「退会できない」謎の組織・・・。

 

もう随分長くやっております。

 

 

絵本の読み聞かせにおいて、最も悩ましいのは、

 

「絵本選び」。

 

 

読み方の正解なんて、正直、あってないようなもの、

 

「声が小さすぎなければ、それで充分」

 

なのであって、

 

いい絵本を選べば、

 

あとは、絵本が勝手に感動を連れてきてくれます。

 

 

自然、常日頃から、

 

「なんかいい絵本ないかなー」

 

と、探すのが日常になるわけですが、

 

ものすごくいい絵本、すばらしい絵本が、

 

読み聞かせに最適とはならないことも、ままあります。

 

小さすぎるとか、長すぎるからとか、理由はいろいろありますが、

 

中でも切実な理由は・・・・・・・、

 

 

 

「泣いちゃうから」

 

 

 

今、

 

「いい歳してー。もー。」

 

って笑った人。

 

最近の絵本って、ほんとにすごいんですから!

 

下手な小説やドラマより、号泣必至よ?ほんとに!!

 

そういえば、先日ご紹介した

 

「エリカ 奇跡のいのち」

 

これね。

 

これも実は、読み聞かせに使ったことはありません。

 

絶対に途中で泣き出す自信あります・・・。

 

 

ということで、今日は、

 

「確実に泣いてしまうので、読み聞かせでは読めない絵本」のご紹介。

 

 

「4こうねんのぼく」

ひぐちともこ著 草炎社

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あのな、父ちゃん。1光年って知ってるか。今日、先生に教えてもろてん。1光年離れた星から地球を見ると、1年前の地球が見えるんやて。すごいやろ…。父子家庭の子どもが母への想いをつづる、愛の絵本。

 

もしも、4光年離れた星から、

大きな大きな望遠鏡で、地球を見たら、

4年前の自分たちが見えるはず・・・。

まだ、存命中だった、元気な頃の「おかあちゃん」も・・・。

 

大阪弁の軽妙な会話の中に、

 

失われた家族の命を惜しむ気持ちが溢れています。

 

 

仕方がない、どうしようもないのだと、

 

自分に言い聞かせるしかない日常の中で、

 

「なんとしても、もう一度」、

 

「せめてひとめだけでも」、と願わずにいられない、

 

そんな悲哀が胸を打つ一冊。

 

泣かずに読める人がいたら、

 

それこそ、

 

1億光年くらい離れたところに住んでる宇宙人なんじゃないの?

 

と思っちゃいそうな絵本です。

 

 

「オオカミグーのはずかしいひみつ」 

 きむらゆういち著 みやにしたつや絵

 童心社

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 オオカミのグーはおかあさんがきらいでした。でもおかあさんの「愛」ってつよくて大きい。

 

オオカミのグーはケンカが強くてみんなのリーダー。

でもグーには誰にも言えない秘密がひとつ。

なんとグーのおかあさんって、実は・・・。

 

たとえどんなに強く大きく立派に育ったとしても、

 

子どもというものはいつだって、

 

親にとっては心配な存在です。

 

グーのお母さんもやっぱり自分よりも強いはずのグーを心配し続けます。

 

たとえグーが自分の「本当の」子どもではなかったとしても。

 

物語の後半、グーの流す涙に、

 

何度でも泣いてしまう一冊です。

 

 

 

「パパはジョニーっていうんだ」

ボー・R・ホルムベルイ著 エヴァエリクソン

BL出版

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ティムの両親は離婚し、ティムはママと暮らすことになった。ある日、ティムはパパと会うことになり一日を過ごすことに…。

 

両親が離婚し、パパと離れて暮らすティム。

今日はパパとの面会日・・・。

 

大好きなパパとの面会日。

 

ティムは出会う人、すれ違う人みんなに、

 

「ぼくのパパだよ!ジョニーっていうんだ!」

 

と叫ばずにはいられません。

 

けれど喜びもつかの間、お別れの時間は迫ります。

 

もう少し、もう少し、と思う気持ちはティムもパパも同じはず。

 

お別れのプラットホームで、パパはある行動に出ます・・・。

 

 

自分の息子を「愚息」とか「豚児」とかって謙遜するのが美徳である日本人には、ジョニーのとった行動をそのままなぞることは難しいかもしれません。

 

それでも彼のその「行動」には心揺さぶられずにはいられません。

 

そして、パパが去った後のプラットホームに佇むティムの姿、表情、その述懐。

 

・・・このページは泣く。

 

絶対に泣く。

 

おいおいと泣きます。号泣です。

 

ここで泣かない人とはお友だちにはなれない!と思うくらいに泣きます。(←しつこい。でも本音。)

 

 

残念ながら世の中には、

 

「いっそ存在しない方がよかったね・・・。」

 

な親だっている悲しい事実を考えれば、

 

これほどまでに思い合える父親がいるティムは、むしろ幸せな少年なのでしょう。

 

ですから、私はティムがかわいそうで泣くのではありません。

 

ティムという少年が

 

あまりにも健気で、

 

あまりにもいじらしいから泣くのです。

 

 

ラストのページでは、

 

それこそ文字通りわんわん泣いてしまって収拾がつかなくなるので、

 

読み聞かせにはきっと永遠に使えそうにありません。

 

 

もしここをご覧になっている先生がいらっしゃったら、

 

ぜひ校費で購入して図書室に置いてください・・・。学級文庫でもいいよ・・・。

 

 

読み聞かせのボランティア仲間同士では、よく

 

「これは長すぎ・・・」

 

「この本はサイズが小さすぎ」

 

なんて話しをよくします。

 

その中でも、

 

「あー、それは泣くから無理!」

 

っていう話しもよく聞きます。

 

なので、「泣いてしまうので読めません」の体験は、きっと私だけのものではないのでしょう。

 

「いい絵本」だけど、読み聞かせは無理な絵本。

 

ぜひ一度、手に取って「号泣」してみてください。

 

 

ついでに読み聞かせのボランティアにもぜひぜひ参加を。

 

どこの小学校でも読み手が不足中です・・・。

 

とくに大阪在住の方は考えてみてくださいね!

 

ちなみに読み聞かせの現場はこんな感じ・・・。

 

別にコワくないので、ぜひぜひ!

 

 

今年の春も、退会に失敗・・・。

 

読み手が増えたら、「私が」退会できるかも・・・。

 

大阪在住の方、よろしくね!!!