恐怖のバレンタインデー

今週のお題「バレンタインデー」

 

みなさま、こんばんは。

今年もバレンタインデーが近づいてきましたね。

私くらいの年になると、もうバレンタインデーなんて、心の底からどうでもいいと思える話になるんですが、去年のバレンタインデーには「ほんま、えらい目」に遭いました。

 

忘れもしません。

去年の2月13日。

 

学校から帰宅した娘の顔が暗ーいのです。

娘は感情がそのまま顔に出てしまうタイプで、彼女が何かイヤなことを抱えて帰って来ると、私はすぐに気がついてしまいます。

で、夕食の席で、さりげなく学校での様子を聞きました。

そうしたら・・・

 

娘「明日のバレンタインデー、うちのクラスでは女子が男子にチョコをあげることになってん。だからキットカットの大入り袋を買ってきた。」

 

ふーん。

最近はそういうこともクラスみんなで盛り上がるのねえ。

私が高校生だったころとはずいぶん趣が違うなあ・・・

好きな男の子を校舎の裏に呼び出してこっそり手作りチョコを手渡したり、手紙つきのチョコレートを机やロッカーに入れたりする文化はなくなっちゃったのねえ。

 

なーんてしみじみしていますと、娘が

 

「私はそんなことしたくないねん。」

 

となんだか暗い顔。

何が気に入らないのか知りませんが、どうもふてくされているように見えたので、

 

クラスで決まったことなら、参加した方がいいのでは。

とか、

イヤなんだったら、その場で言えばいいのに、決まった後でグズグズ言っても今さら遅いんじゃないか。

とか、色々説得してみたのですが、娘の態度はますます硬化していくばかり。

 

これは何か変だな~、おかしいなあと思って、ちょっときつめに、「はっきり言いなさい」と言ってみましたら・・・

 

娘「だって、みんなシフォンケーキとか、カップケーキとか、手作りのチョコを持ってくるって言うねん。でも私は自分では作れないから、キットカットにしてんけど・・・」

 

まあね。

娘が台所で何かしてるのを見たことないし(←娘は料理に興味なし)、私もお料理を教えたりしないし(←めんどうだから)、そりゃチョコもケーキも作れますまい。

 

でも、いいやん。キットカット

おいしいやん?

 

娘「でも、でもさ。み~んなが手作りのチョコとかケーキとか持ってきてるのに、私だけキットカットじゃ、見劣りすると思わない?」

 

と、ここで娘は「ほろほろほろ~」と泣き出しました。

 

えー?!

泣く?

そんなことで。

もう高校生なんですけど・・・。

 

そういえば中学生のころには、この子、病院へ行く途中で転んでしまい、

「ママー。こけたー。痛い~。えへへへ・・・ええ~ん」

って電話かけて来たことあったなあ、と、これまたどうでもいいことを思い出しつつ時計を見た私は絶望的な気持ちになりました。

 

だって、その時点で時間は午後7時35分。

同級生と同じように手作りのチョコレートなりケーキなりを持って行きたいと、娘が泣くほど望んでいたにしても、2月13日の夜7時35分から一体どうしたらいいと思います???

ひとつやふたつならなんとかなるにしても、クラスで交換(女子も含む)となれば、同じものが40~45個は必要になります。

そんな数のチョコレートも卵も小麦粉もない・・・

いや、24時間営業のスーパーなんていくらでもある、問題は近所の100円ショップ!

要するに、「手作り」だけではダメなんでしょう。

それなりにかわいく「ラッピング」してあることが重要なんだろうから、この場合、その包装材が必要なわけです。

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こういうやつね。

でも近所の100円ショップの閉店時間は午後8時!(うちからショップまでは急いで10分くらい)

しかも私はその時点ですでに入浴を済ませていて頭はボサボサ、もちろんノーメイク。

 

娘に買いに行かせようかとも思いましたが、我が家では夜遅くに娘をひとりで外出させることはしないし(←過保護)どのみち私が付き添わなくては、どんなものを選べばいいのか、本人もわからないまま、すぐに閉店時間になってしまいそうです。

 

「あきらめなさい。時間がないから。」

 

って言うか、それとも私がなんとかするか・・・

 

2秒ほど悩みました。

泣いてる娘を見ながら。

 

で、その1秒後、ボサボサの頭に帽子をかぶって、ノーメイクのまま自転車の鍵をつかんで、家を飛び出しました。

 

私ねえ、必死で自転車を漕ぎながら、

 

「ありえへんわー」

 

って思ってました。

 

だって、すっぴんですよ!?この年で!(←そこ?)

 

ツッコミどころは満載で、

どうしてもっと早くに言ってくれないのか、とか、

どうして私がフォローしなくてはならないのか、とか、

言いたいことはいっぱいありましたけれど、

やはり娘に泣かれると弱いんですよね。

ほんっと過保護です(反省)。

 

で、閉店間際の100円ショップに飛び込んで超特急でラッピング材を買い込み、その足で24時間営業のスーパーに立ち寄って、卵やバター、小麦粉などを仕入れてまたまた猛ダッシュで帰宅。

真冬なのに大汗をかきました。

 

でももちろん、そこからが本番。

なにしろ約40人に行きわたるだけの手作りお菓子を作らなくてはなりません。

時間もないし、家庭用のオーブンで一気に焼くことができるといえば、パウンドケーキくらいでしょうか。

簡単なケーキですが、卵を室温に戻す時間もないくらいで、しかもそんなにも大量に一気に作った経験もないので、ちゃんと膨らんでくれるのか不安でオーブンに張り付く私。

そんな私に、ちょっと申し訳なさそうな顔で張り付いている娘。

 

で、オーブンの中のケーキが膨らんできたのをみて、

「ああ、ふくらんだ!よかった~」

と隣にいた娘に言いますと・・・

 

娘「よかった~。じゃあ、私明日早いから寝るね!おやすみ~」

 

と自室に戻って行きました。

 

・・・いいけどね・・・別に。(←すでに説教をする元気もなし)

どのみち、役に立ちそうにないし・・・(←この態度が娘がなんにもできない理由)

 

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焼き上がり。

単なるパウンドケーキじゃさびしいかなと思って、マーブルケーキにしてみました。
急いだわりにはちゃんと膨らんでくれて一安心。

 

でも。

でもでも。

ここで終わりではないのです。

 

ここから悪夢のラッピング開始。

まずケーキを45等分にして・・・ひとつずつ袋に入れて・・・娘が買ってきたキットカットも同封して・・・

 

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ひとり分ができあがり。

この作業がめんどくさい!!

ひとり、ちまちまとラッピングしていましたらいつの間にやら時計は深夜0時を回っていました。

これではいつになったら終わるのやら・・・仕方なくPCをいじっている夫にも頼みました。「手伝って」って。

 

夫はちょっと「むっすー」としつつも手伝ってくれました。

夜中にこんなことを頼んだから気に入らないのかな?と思いながらも、とにかく「早く終わらせないと!」と私も必死、黙々と作業をしていたら、夫が言いました。

 

夫「・・・これ、まる子(←仮名です)のクラスの男どもは、まる子が包んだと思うんやろうなあ。」

 

は?そうやろうねえ。

 

夫「まさか、こんな40過ぎのおっさんが包装したとは思わへんやろなあ。」

 

なんでそんなわかりきったことをわざわざ言うのだろうと思ったので、ただうんうん、と聞いていましたら、叫びました。夫が。

 

 

「ザマーミロー!」

 

って。

なので言いました。

 

「もう。

見苦しいな、こじらせた男子高出身者は。

黙って包んで!」(←鬼)

 

そうして夜中の1時を過ぎるころ、やっと大量のラッピングを済ませて、

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私たちも休むことができたのでした。やれやれ。

翌日。

お友だちが作ったという大量のお菓子を持って娘が帰ってきました。

 

「ママのケーキ、好評だったよ~。」

 

と言う娘の顔には翳りがなくて、私もがんばってよかったとちらっと思いました。

すっぴんでお外に出たのは痛恨事だったけど(←問題はそこじゃない)。

 

ところで。

持ち帰ったお菓子の山を前に、その夜、娘が言いました。

 

「今回のイベントの言い出しっぺで、一番盛り上がってわあわあきゃあきゃあ言ってた子がさー。

 

キットカットの大入り袋持ってきてた。

 

娘よ・・・。

 

 

そんなオチ、いらんわ。