夫に「うまい!」って叫んだ日。
古い話しになりますが。
娘が産まれたころのある日。
「最高級子ども服」のお店をテレビで見たのです。
某ホテルに店舗を構えるそのお店、お洋服の価格帯は、なんと1着、
6万から15万円!
バブル景気が吹っ飛んでからかなりの月日が経っていたので、私はびっくりして、
「まだまだ景気のいい人っているんだなあ。」の感慨を深くしました。
でも。
子ども服って、そんなに高いの?最低でも1着6万円って・・・。
娘はまだ0歳。
お洋服はお祝いのいただきものとか、おさがりばかりの、「タダ♡」状態、おかげで当時の私は子ども服の値段に疎くなってしまっていて、
「我が家では、お洋服のためにそんなお金は捻出できない・・・どうしよう。」
と、暗澹たる気持ちにもなりました。
その時、テレビのレポーターさんが聞いたのです。
「どうしてこのお店のお洋服はこんなに高いのですか?」
って。
お店の方の答えはこうでした。
「1点ものだからです。世界に、ただひとつのお洋服だからです。」
「ふーん。」
思いました。なるほどね。
高価なブランド物より、なおお高いのには、「他人とかぶらない」という理由が。
で、思ったのです。
「じゃあ、自分で作れば、それは世界にひとつだけの、1点ものになるんじゃない?」
って。
でも。
平素から女子力ゼロ、学生時代は体育の次に家庭科がキライだった私が、お洋服なんて作れるようになるものでしょうか?
そこで、洋裁学校を出ていて、私たち姉弟が小さい頃はいつもお洋服を縫ってくれていた母に相談しました。
「私もミシン、買ってみよーかなー。」
母「やめとき。手ぇ縫うだけやで。」(←きっぱり)
ぐぬぬ。
さすが、長年私の母をしていただけあって、分析が冷静です。
だけど、どうしてもあきらめられず、ぐずぐず悩んでおりますと、ご近所のお友だちママさんが、
「ミシン、しばらく貸してあげるよ!向いてなかったら、買うのやめたらいいやん!」
と言ってくれて、だから、私の手作りは、友人から借り受けたミシンで始まったのでした。
その後、自分のミシンを購入、何着か縫っていくうちに、なんとなく、お洋服づくりの工程というか進め方のようなものがわかってきて、それからは、お裁縫も少しずつ楽しく感じられるようになりました。
だけど。
そのころ、つくづくと、そしてしみじみと感じることがありました。
それは、
「型紙通りに、指定通りに縫っているのに、なぜだか、雑誌のモデルの女の子のようにはかわいくならない。」
ってこと。
娘に出来上がったお洋服を着せて、矯めつ眇つ眺めて見ても、
「なーんか、違う。ちょっと違う。」
って気持ちが拭えないのです。
で、夫に聞いてみました。
「ねえねえ、どうしてこのモデルの女の子と、おんなじようにならないのかしら。似たようなお洋服を着せてるのにね。
なにが違うのかなー?」
って。
そしたら夫が言いました。
「親。」
・・・。
えー。
いつもの私だったら、ここで、「きぃっ!」って怒るところだと思うんですが、
告白いたしますと、この時の私、夫に対して、
「うまいっ!」
って思ってしまいまして。
あまりにもおかしくて大爆笑、笑いのツボにドはまりしてしまい、怒ろうと思っても、うまくいきませんでした。
「なんだとぉ!?・・・あはははははははは」
「けんか売ってんのー?!・・・ぬははははははは」
「親のせいだって言うんなら、あなたにだって責任の半分はあるんですからねっ!・・・だははははははははは」
って感じ。
ちっともコワくならなくて大失敗。
実はいまだに、あの時の夫の言葉がおかしくて、ひとりで吹き出してしまう時があります。そしてひとしきり笑った後で、失礼なっ!と思い至って、
むむっ。
としています。(←遅い。)
バンザイしたせいで、ウエストのリボンがはね上がってますが・・・。
当時、がんばって作ったワンピース。
スカートにせっせとギャザーを寄せたことを思い出します。
しかし!
苦手なお裁縫をあんなにがんばったのに!
肝心の娘が、
「一番好きなお洋服はパジャマ。楽だから。その次は体操服。楽だから。」
なんていう、身も蓋もない女子高生に育ってしまったのは、一体どういうことでしょうかっ?!
休日になると、中学時代のゼッケンがついたままの体操服でダラダラ~としている娘を見るたびに、
「なにかが違う、どこから間違えたんだろう」
って気になるのですが、夫に聞けば、また
「遺伝。」
なんてひとことで、ばっさり切り捨てられそうなので、
なにも聞くまい・・・。
と思っています。
ということで、久々の手作りは、妊娠中の友人のためのベビードレス。
のんびり編んでいたら、意外と時間がかかりました。
帽子とセットなんです。かわいいの!
小さいんですよ・・・肩幅なんて5センチくらい!
母とふたりで「ちっちゃ!」「かわいい~♡」と大騒ぎしました。
子どもが小さくてかわいいのは本当にわずかの間。
このベビードレスを着る予定の赤ちゃんもきっと、すぐに大きくなってしまうのでしょう。(そして体操服で家の中をゴロゴロするようになるのでしょう。は?それはうちだけだって?うむむー。)
でも、育児の思い出が、なるべくたくさんの笑顔と共にあるといいなあと思います。
秋の風が吹くころ、このベビードレスを送るつもりです。
包みをあける友人の顔に、笑顔が広がりますように。
えーっと、最近少々バタバタしておりまして…。
これから1週間ほど、時間が足りなくて、みなさまのブログにお邪魔をしても、コメントなどが普段通りにいかないこともあろうかと思います。
どうかご寛恕くださいますよう、伏してお願い申し上げます。