宮沢賢治がわからないって言ったらアホの子扱いされた。

みなさま、こんばんは。

 

先日、ボランティア先の図書室で、他のメンバーとごそごそ作業をしていたら、めずらしく宮沢賢治の本が大量に貸し出されていることに気づきました。

 

「めずらしいねえ。」

「本棚から動いてるの、初めて見たかもしれへん。」

「もうすぐ国語の授業で「注文の多い料理店」をやるから、教室に持って行ってるのかなー。」

 

なんてみんなで話しました。

 

で、私が言ったのです。

 

宮沢賢治って、必ず国語の教科書に取り上げられるけどさー、私、宮沢賢治ってわからんわー。「注文の多い料理店」はともかく、他の作品はさっぱり!」

 

って。

 そうしたら、たまたま図書室内にいらした若い先生が「宮沢賢治って、」と声をかけてこられました。

 

宮沢賢治って、頭のいい、成績のいい子どもはわかるんですよ!

私はアホの子だったんで、全然わかってないんですけどね!」

 

って。

 

へ~。

 

私もさっき、「宮沢賢治がわからない」って言いましたけど・・・ってことは、

 

私も「アホの子」ってことですよね・・・?

 

と言おうかと思いましたけど、「アホの子」であることは既に疑いようもなく、明らかに、厳然と確定済みなので、これ以上墓穴を掘るのはやめようと思って黙っていました。

 

先生によると、教科書にとりあげられているのが「注文の多い料理店」の時はいいのだけれど、それが「やまなし」の時には本当に頭を抱えてしまうのだそうで、授業をしていても、実はさっぱりわかっていないんだとか。

でも、「頭のいい子」は赤刷りの指導書そのままのことを答えたりするそうで、

 

先生「びっくりしますよー!だって私、その指導書読んでも、なんのことか全然わかんないんでー!あははー。」

 

先生・・・いいんですか、そんなんで・・・

 

で、でもまあ、学校の先生でもわからないんだから、私なんかがわからなくってもしょうがないよねー、とすっかり気を大きくしました。(←あかん。)

 

帰宅してから、我が家で唯一、宮沢賢治が大好きな娘とその話をしていたら、娘から

「そもそもどうしてそんなに宮沢賢治がキライなん?」

と聞かれました。

 

うーん・・・宮沢賢治がキライってわけでもないんですよね。

よだかの星」のあの引き裂かれるような悲しさ、「銀河鉄道の夜」のあの美しい情景、「やまなし」や「月夜のでんしんばしら」のあの独特のオノマトペ・・・どれをとってもそれまでの作家とは一線を画す、まさに画期的な存在だと思います。

 

でもなー。

 

「ほら、「雨ニモマケズ」ってあるやん?あれ読んでるとさー、なんていうか、めっちゃ日本人の心の琴線に触れるというか・・・どハマりするっていうか・・・だからこそ、教科書では読みたくないような・・・要するに文科省には推されたくないねん。

「一日に玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」て、

「北ニケンクヮヤソショウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイ」うんやで?

あれを教科書で読んでたらさー、なんか、

「一日玄米4合で文句を言わず働いて、何があっても訴訟や裁判に訴えたりせずに、ひたすら黙って耐え忍べ。」

って役人に言われてるような気ぃがして、瞬発的に反感を持ってしまうねん。

そんなこと、国にいちいち指図されたないわっ!って。

「羊のようにおとなしく、従順な国民」を育てるために、文科省宮沢賢治を利用してるんちゃう?という疑惑を感じるなー。妄想やろうけど。」

 

と返しましたら、娘がまじまじと私を見て言いました。

 

「ママ・・・。心が穢れてるで。」

 

む。

 

悪かったわねっ!!!

 

宮沢賢治がわからないと言ったら「アホの子」扱いされて、とうとう「心が穢れてる」とまで言われてしまいました。とほほ。

 

 

子どものころ、家にたまたま存在していた絵本。

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セロ弾きのゴーシュ

この絵本を最初に読んだときの戸惑いは今でもとても鮮明で、子ども心に、

 

「未完の大作ってやつかな?」

 

と思い、そうでないことがわかると、途中で重大なページを読み飛ばしたのかと最初のページから読み直したり、落丁があるのかと絵本をあれこれ調べたことを思い出します。

思うような「こたえ」が見つからなかった私は、絵本を片手にしばらく「うーん」と悩んだものでした。

 

実を言うと今でも「セロ弾きのゴーシュ」を見ると、どうしても素通りできずに、必ずページを繰ってしまいます。

そして当時と全然「変わらない」ことを確認しては、「そりゃそうだよね。」ってひとり得心するのです。

思えば、膨大な本の海の中では、 タイトルも内容もあやふやになってしまう本もあるというのに、これほどまでに「わからないのに忘れられない」ということ自体が、宮沢賢治の偉大さを証明しているのでしょう。

でも。

できることならば、私も「セロ弾きのゴーシュ」を読んで、心の底から納得したい気持ちもあります。

 

なので、宮沢賢治の魅力について、「アホの子」向けにご教授くださるととてもうれしい。

宮沢賢治ファンのみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

そうでない方は・・・そうだなあ、最近、心が穢れてるなーと思った瞬間のことなんかをお教えください。ほほ。