こんなん出ましたけど。(古っ!)

先日。

ボランティア先の小学校で、メンバーと一緒に図書室内のお掃除をしました。

室内には、ずっと気になりながらも手を付けていなかった棚がありまして。

みんなで今日こそは!と整理に挑戦してみたのです。

 

由来のわからない雑誌や古い辞書、小冊子をよけて棚の奥の方まで発掘を続ける私たち。すると・・・一番奥に現れたのがこんな光景。

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古い・・・見るからに。

「こわいこわいこわい」とくり返すメンバーもいて、

「古い本って怖いものなのかな?」

ってちょっと意外に感じました。(←私は割と平気。)

そういえば、亡くなった父はお風呂やトイレなどの汚れは絶対に許さないのに、犬や猫の毛はどれほどお洋服についてもへっちゃらな人だったようで、

「好きなものは気にならへんもんなんよ。」

という母の言葉から察するに、私の場合、本の汚れはたいして気にならないということなのでしょう。

なんなら本の上にたまったホコリは、「ふう~っ!」って吹き飛ばして、それでOK!だったりします。

他のところのホコリは拭わずにはいられないのですが。

人間なんていい加減なものです。(←私だけか・・・)

 

脱線しました。棚の奥の本の話でした。

 

1冊、引っ張り出してみます。

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あかね書房「少年少女日本文学選集8巻 国木田独歩名作集」(ホコリは取り除きました。)

 

渋い。渋すぎる。

国木田独歩て・・・。

メンバーの中でも若いママさんたちからは、

 

「誰?」

 

の声多数。

だよねえ。

私も文学史の教科書でちらっとお見かけしたかなー、程度ですわ~。

 

奥付を見てみましょう。

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「1959年」発行!

来年還暦じゃないですか・・・「先輩!」って感じですね。

定価は280円!

これって現在の貨幣価値だとどれくらいの値段になるのかな。

 

中身。

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字、ちっちゃ!

「少年少女向け」なのに、容赦ない!

だけど紙質はとても上質な感じがします。

1970年~80年代には、もっと劣化しやすい紙の本が大量に出回っていたような。

これだけ古いのにほとんど変色していないのはすばらしい。

 

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監修はなんとあの志賀直哉

 

「先輩どころやあらへんね。「先生!」って言わなあかんわー。」

 

とみんなで大盛り上がり。

 

「昔の小学生はすごいなー。」

「こんな小さい字の本を読んでてんねえ。」

「今の子には無理かもしれへんね。」

 

私も、今の小学生がこんな本を読むのは無理だろうな、と思いました。

いや、日本全国探し回れば、難なく読める子どものひとりやふたり、あるいは存在しているかもしれませんが、少なくとも私たちがボランティアをしている小学校にはそんな子はいない・・・賭けてもいいけど絶対いない、という感じがしました。

今、あれこれと話題になっている「萌え絵」の表紙をつけたとしても、おそらくは無理でしょう。

そもそも今とは社会の在り様が違います。言葉も違います。

 

「書生さん」ってどういう人?「五間」ってだいたい何メートル?

・・・1頁ごとに山のように注釈が必要でしょうし、

 

「神機妙道ただその人に存す、愚者解すべからざるなりか、ハゝゝゝゝッ。」

・・・なにがおかしいねん。

 

とポカンとされるのがオチだと思います。

 

つくづく昔の子どもってすごいなあ、今の子よりたくさん本を読んでたんだろうなあと思って貸し出しカードを見てみたら・・・

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だ~れも借りてへんやん!

 

なんだかちょっとほっとした私たちは、さてこの名作全集をどうしよう、と本来の目的を思い出し、

 

「見つけへんかったことにしよう。」(←めんどくさいから)

 

国木田独歩全集をもとの場所に戻して、手前に辞書を積み重ねておきました。(←あかん)

 

こうして、小学校の魔窟は解消されるどころか、私たちの感慨を上乗せして封印されました。

次にこの本を見つけるのは誰だろう。

誰かが読んでくれるといいなあ。(←いや、捨てようよ。)